Ubuntu, CentOS のGUI画面でターミナルを使用する場合、アプリケーション画面で「端末」アイコンをクリックしてターミナルを起動、Windowsであれば、使い慣れた Tera Term や、 Microsoft が開発した Windows Terminal などを使い Linux にリモートログインしているのではないでしょうか?
Ubuntu、CentOS の標準で採用されているターミナルは「GNOME Terminal」というターミナルで、標準ディスクトップとして採用されているGNOMEの標準ターミナルなので「端末」アイコンをクリックするとGNOME Terminalが起動されるようになっているのです。
Linux 上では、多くのターミナルが開発されておりUbuntuでも多くのターミナルがリポジトリに公開されています。Ubuntu Software で「terminal」をキーに検索すると多くのアプリが表示されます。あまりに多くて何を試してみれば分からなくなってしまいますが、今回は筆者が比較的有名な使い勝手がよいターミナルを3つ紹介したいと思います。
GNOME Terminal https://www.gnome.org/
GNOME Terminal は、GNOMEディスクトップ環境、Ubuntu の標準ターミナルです。デフォルトでインストールされているのでアプリケーション画面で「端末」アイコンをクリックして起動されるのはこのターミナルです。特筆すべき特別な機能はありませんが、デフォルトのターミナルということで多くのユーザが利用しており安定して使えるのがこのターミナルの特徴です。設定は「プロファイル」メニューの「+」ボタンをクリック、新しいプロファイル名を設定して作成します。まずお勧めしたいのが、「文字」->「起動時の端末サイズ」の設定です。ここで起動時にターミナルのサイズを設定できます。起動時に毎回ウィンドウサイズを調整している人は使いやすいサイズに変更すべきです。ターミナルを操作している時になるポン、ポンという警告音は「端末ベルを鳴らす」を無効にすることで消音できます。また筆者は小さい字が見えにくくなってきているので「フォントを指定」でフォントサイズを大きくしています。「色」では文字や背景の色が変更できるのでお使いのディスプレイの明度を考慮して自分自身が見やすく目が疲れない色味に変更してみてはどうでしょうか?変更後は作成したプロファイルを「デフォルトとして設定」に変更すれば、新規にターミナルを起動する毎にこの設定で起動されます。
XFce Terminal https://www.xfce.org/
XFce Terminal は、XFce ディスクトップ環境の標準ターミナルです。XFce は軽量・高速なディスクトップ環境を目指して開発されているのに、GUIとしての機能は一通り十分備わっているディスクトップです。非力なマシンや軽量なディスクトップを好む人たちに利用されています。しかしターミナルアプリ自身、そんなにCPUやメモリを使用しないので、このターミナルを使用することによりシステムリソースを軽減させることはできませんが、設定によって変更できる機能はGNOME Terminalより多いです。
XFce Terminalは、「端末」アプリを開いて次のコマンドを実行するとインストールできます。
$ sudo apt install xfce4-terminal
インストール後、アプリケーション画面で「XFce Terminal」アイコンをクリックして起動します。設定をみるとGNOME Terminalで出来る設定はほぼこのターミナルにも実装されていることがわかります。筆者がお勧めの設定は「一般」->「作業フォルダー」の設定です。Android アプリの開発時は、~/AndroidStudioProjects/ QT アプリ開発時は、~/QtProjects/ など常に作業するディレクトリが決まっているというエンジニアは多いと思います。ここにディレクトリを設定しておけばディレクトリにチェンジディレクトリした状態で新規にタブが開かれていきます。また「上級者」->「ダブルクリック」はターミナルでダブルクリックした時の選択範囲を設定できる項目です。GNOME Terminal で、https://yahoo.co.jp/ をダブルクリックしたとき : がデリミタとして判断されて https: か //yahoo.co.jp/ のみしか選択されませんが、このターミナルでは、:が考慮文字に設定されているので全て選択されます。ダブルクリックの文字列選択を多用する人は、ここで考慮する文字を調整すれば作業効率が上がるのではないかと思います。また「外観」->「背景」では、背景をお気に入りの画像にしたり、透過にすることができます。ディスクトップの背景に変更していて、ターミナル操作時も背景をみたい人にはお勧めの設定です。
QTerminal https://github.com/lxqt/qterminal
QTerminal は、LXQt ディスクトップ環境の標準ターミナルです。LXQt も 軽量・高速なディスクトップ環境として有名です。XFce は、アプリケーション開発フレームワークのGTK+というライブラリを使用して開発されていますが、LXQt は、QT というライブラリを使用して開発されています。GNOME は、GTK+をベースに開発されているのでインストール時に必要な依存パッケージがXFce Terminalより少し多くなります。
QTerminal は、「端末」アプリを開いて次のコマンドを実行するとインストールできます。
$ sudo apt install qterminal
インストール後、アプリケーション画面で「qterminal」アイコンをクリックして起動します。設定をみると、こちらもGNOME Terminalで出来る設定はほぼこのターミナルにも実装されていることがわかります。XFce Terminal で取り上げた背景画像の変更や透過も行えます。面白い機能としてスクロールバーを右に移動したり、タブの位置を上下左右から選択できます。そしてQTerminalには画面分割というとても便利な機能があります。画面を右クリックして「ターミナルの上下分割」、「ターミナルの左右分割」を選択するとターミナルが分割されます。ソースコードやログを比較する際に、ターミナルウィンドウを2つ起動して、ウィンドウが重ならないようにウィンドウを配置し直したり、「Alt+TAB」でウィンドウを切り替えて、何処が違うのかなど比較するのは面倒です。真横に表示出来ればデータの比較がしやすいです。
この3つのターミナルを紹介しましたが、QTerminal が一番多機能で QTerminal が一番!と思った読者もいると思いますが、QTerminal はタブルクリックで全角文字が選択できませんでした。筆者はタブルクリックで文字列をコピーする事が多いので、XFce Terminal のダブルクリックの考慮文字機能が魅力に思えました。しかしここでは紹介出来ないくらいのターミナルが提供されています。Ubuntu Softwareから試しにインストールして動作確認をしてみて下さい。あなたのお気に入りのターミナルが見つかるかもしれませんし、作業によって起動するターミナルを使い分けても良いかもしれません。