Ubuntu を使ってYouTubeで動画配信

LINEで送る
Pocket

コロナ禍の「巣ごもり需要」を受け、YouTubeの視聴や動画配信が流行っています。YouTubeの動画を視聴したたことはあっても配信を行った事がある人は少ないのではないでしょうか?Ubuntuであれば、必要なパッケージを追加インストールするだけで動画の録画や編集が行なえるのでYouTuber(ユーチューバー)に簡単になる事ができます。(笑)

動画はスマフォやハンディカメラで撮影してパソコンに取り込むと思いますが、ライブ配信や自室でも撮影するならパソコン用のUSBタイプのカメラとマイクを利用するのが>便利です。ラップトップパソコンの内蔵カメラ、マイクを利用しても良いですが、USBカメラもマイクも数千円から購入できます。

まずはマイクが正常に動作しているか、マイクの入力確認を行います。PC内臓のマイクで問題ありませんが、今回はHyperXのUSBマイク「SoloCast HMIS1X-XX-BK/G」を使用します。画面右上のメニューから設定メニューを起動して、「サウンド」->「入力」より利用する入力デバイスを選択します。動作しているなら音を拾うと選択メニューの下にあるインジケーターが動きます。

音声録音には、GNOMEのSound Recorderがお勧めです。インストールは以下のコマンドで行います。

$ sudo apt install gnome-sound-recorder

インストール後、「アクティビティ」画面で「sound recorder」と検索し、表示されたアイコンをクリックして起動します。「Record」ボタンをクリックすると音声の録音が
始まります。何か音を拾うと音声波形が動くので録音されていることが分かります。「Export」ボタンをクリックすると録音した音声を保存できます。

次にカメラが正常に動作しているか、カメラの確認を行います。こちらもPC内臓のカメラでも問題ありませんが、今回はLogicoolのUSBカメラ「C922n Pro HD Stream」を使用します。カメラ確認にはCheeseがお勧めです。「アクティビティ」画面で「Cheese」と検索し、表示されたアイコンをクリックして起動します。Cheeseの設定メニューより使用するカメラのデバイスと解像度を選択して、Cheeseの画面にカメラの映像が写っているなら正常に動作しています。写真かビデオを選択して撮影ボタンをクリックします。撮影したデータは、~/ピクチャ/ウェブカム/と~/ビデオ/ウェブカム/に保存されます。

ディスクトップの画面録画には、SimpleScreenRecorder がお勧めです。SimpleScreenRecorderは以下のコマンドでインストールします。「アクティビティ」画面で「simplescreenrecorder」と検索し、表示されたアイコンをクリックして起動します。
録画は簡単です。設定ウィザードに従い「続行」ボタンをクリックして行き、 録画ファイルの「保存場所」を指定して「録画を開始」を押すだけです。

$ sudo apt install simplescreenrecorder

作成やUbuntuに取り込んだりした動画と音声を再生確認するには VLC media player(以下VLC)がお勧めです。VLCは、Windows、Mac、iOS、Androidで動作するマルチプラット>フォームのマルチメディアプレイヤーです。先程録音、録画したデータをVLCで開き再生確認を行います。VLCは多くのメディアフォーマットに対応しているのでスマフォやハ
ンディカメラで撮った動画も再生することができます。「アクティビティ」画面で「vlc」と検索し、表示されたアイコンをクリックして起動します。メニューの「メディア>」->「ファイルを開く」より保存したファイルを再生してみてください。

$ sudo apt install vlc

音声、動画のデータを作成した後に行いたいのが動画編集です。Ubuntuには、KdenliveやOpenShotなどの動画編集アプリがありますが、今回は、Shotcutを紹介したいと思い>ます。Shotcutは、WindowsやMacでも動作するマルチプラットフォームの動画編集アプリです。Shotcutを使えばスマフォやハンディカメラで撮った動画にタイトル画面やテロップを挿入して、VLCで再生したり、YouTubeにアップロードする為の動画を出力することができます。Shotcutは以下のコマンドでインストールします。

$ sudo apt install shotcut

インストール後、「アクティビティ」画面で「shotcut」と検索し、表示されたアイコンをクリックして起動します。Shotcutを起動すると4分割されたウィンドウが表示されます。
左上のウィンドウ:動画、画像などの素材(クリップ)をインポートする素材ウィンドウです。
中央のウィンドウ:素材の再生をチェックするプレビューウィンドウです。
右上のウィンドウ:使用した素材の履歴画面です。
下のウィンドウ:クリップを並べて、動画を作るタイムラインウィンドウです。

まずはメインとなる動画をインポートします。ファイルマネージャーから素材を左上のウィンドウへドラック&ドロップします。

インポートした画像が中央のプレビューウィンドウに表示されるので、タイムゲージで取り込む開始、終了ポイントを設定して、プレビュー画面をタイムラインウィンドウにドラック&ドロップするだけです。

動画を公開するのであれはバックに流れる音楽も重要です。この後、YouTubeの動画をアップロードする管理サイト、YouTubeスタジオについて説明しますが、YouTube 内で使用するのであれば無料で使用できる「オーディオ ライブラリ」があります。視聴が行なえmp3ファイルとしてダウンロードすることができます。ダウンロード後、動画と同じように音声ファイルを左上のウィンドウへドラック&ドロップします。追加した音声ファイルをダブルクリックすると、音声ファイルがプレビューウィンドウに表示されます。

タイムラインのメニューから「トラックの操作」->「音声トラックを追加」より音声のトラックを追加して、切り出した音声を動画と同じようにタイムラインウィンドウにドラック&ドロップします。これで映像に音楽が入りましたが音量が最後まで同じだと、映像を再生した時、最後にブツっと映像が途切れたみたいになるので音量を絞っていくフェイドアウト機能を使って、自然に音が終わるように調整します。

音声のタイムライン内の右上にマウスを持っていくと黒い丸が表示されるので、左クリックしたまま左に移動させます。移動させた分だけ音量がフェイドアウトされます。

次に映像を際立たせる為に、タイトルやテロップを追加したいです。「その他を開く」ボタンより「テキスト」を選択します。文字を入力してOKをクリックします。フォントや表示位置を設定します。再度タイムラインのメニューから「トラックの操作」->「映像トラックを追加」よりタイトル、テロップ専用の映像のトラックを追加して、テキストデータを追加した映像トラックへドラック&ドロップします。

最後に「ファイル」メニューの「映像を書き出す」より、映像を書き出します。出力形式は現在多く利用されているMP4を選択すればよいと思いますが、解像度などは元の映像などの画質などを考慮して選択します。

また映像を公開する上で注意を引くためのサムネイル画像は重要です。注目してもらいたいポイントに映像を合わせて「ファイル」メニューの「フレームを書き出す」を選択すると映像を切り出した画像ファイルが出来ます。画像のフォーマットは保存時の拡張子によって決まります。YouTubeに使えるサムネイル画像のサイズは2MB以下なので圧縮率が高いjpgファイルで作成する事をお勧めします。

Google のアカウントがあれば YouTubeスタジオ(https://studio.youtube.com/) にアクセスすれば、簡単に YouTubeチャンネルを作成できます。編集した動画を直ぐにアップロードできますし、取り付けたカメラでライブ配信も行えます。

まずは、画面右上のボタンから「動画をアップロード」してみます。動画をアップロードすると自動でYouTube用に動画が再エンコードされ、動画が著作権やYouTubeの規約に問題がないか簡易的なチェックが行われます。このチェックが通ってもYouTubeではユーザからの報告や独自にチェックが行われているので規約(https://creatoracademy.youtube.com/page/lesson/copyright-guidelines?hl=ja)に沿った動画をアップロードして下さい。

動画の設定項目は沢山ありますが、「タイトル」と「視聴者」の設定が必須です。その他「説明」、「カテゴリ」、「コメント」などの設定項目がありますが、設定内容は全て公開後でも変更可能です。

「次へ」をクリックすると「動画の要素」の設定です。動画中にCMを挿入したり、再生終了時のチャンネル登録や再生終了後、次に再生するお勧め動画などの設定を行います。投稿動画が溜まってきたら設定すれば良いと思うので「次へ」をクリックします。

動画がYouTubeの規約に沿ったものかの結果が表示されOKであれば「次へ」ボタンがクリック出来るようになっておりチェックが通らなければこの先の動画公開の設定が行なえません。動画の長さにもよりますが、チェックには数分〜数十分かかるのでチェック完了までは次の画面へは進めません。

最後に公開設定を行います。公開するスケジュールを設定したり、全世界に配信する以外に、選択したユーザやリンクを知っているユーザのみに公開したりすることも可能で、公開後でも未公開設定に変更もできます。

公開すると作成したチャンネルの動画一覧に投稿した動画が表示されます

ライブ配信はさらに簡単です、こちらも画面右上のボタンから「ライブ配信を開始」をクリックします。「タイトル」と「視聴者」の設定を行い「ライブ配信を開始」をクリックするだけです。しかし、ライブ配信を行う為には審査があり、チャンネル作成数日後、ライブ配信が可能となります。ライブ配信を開始するとカメラの映像が全世界に直ぐに配信されるので慎重に行って下さい。ただし一個人のチャンネルのURLを誰かに伝えない限りすぐに誰かの目に止まる事は皆無だと思います。

今までUbuntuに取り込んだ動画ファイルや取り付けたカメラとマイクを使ってYouTubeに動画配信をする方法を紹介しましたが、ディスクトップ画面を配信するにはOBS(Open Broadcaster Software) Studio(以下OBS)を使います。今流行りのゲーム動画の配信もこのソフトを使って配信している人も多いと思います。OBSはマルチプラットフォーム対応のアプリで、YouTubeはもちろんTwitchやニコ生などあらゆるサイトに配信できます。なおUbuntu21.04では、ログイン時「Ubuntu on Xorg」を選択してログインしないと画面のキャプチャは撮れません。

OBS のインストールは以下のコマンドで行います。obs-studio 以外にも ffmpeg v4l2loopback-dkms パッケージもインストールします。

$ sudo add-apt-repository ppa:obsproject/obs-studio
$ sudo apt install obs-studio ffmpeg v4l2loopback-dkms

インストール後、「アクティビティ」画面で「obs」と検索し、表示されたアイコンをクリックして起動します。起動すると自動構成ウィザードが起動します。表示されない場合は「ツール」->「自動構成ウィザードより」起動します。「次へ」と進んで行けば最適な配信設定を行ってくれます。「配信情報」の設定画面では、「サービス」に「YouTube-RTMS」を選択して「ストリームキー」を入力します。ストリームキーは、配信ソフトの映像をYouTube Liveで流す際の共有コードとして使われるためのキーで、YouTube Studio のライブ配信の「エンコーダ配信」画面に***と表示されているのでコピーして貼り付けます。最後に設定を適用してウィザードを終了させます。

画面下の「ソース」の「+」ボタンより配信するソースを選択します。パソコンの画面を配信したいなら「画面キャプチャ」を追加します。カメラであれば「映像キャプチャデバイス」、特定のウィンドウだけを表示したい場合は「ウィンドウキャプチャ」を追加します。追加すると「ソース」の一覧に表示されるので、それぞれの表示位置をセンターの画面で調整して、「ソース」の上下ボタンで表示深度を変更します。画面右下の「配信開始」をクリックすれば配信が開始され、YouTube Studio のライブ配信「エンコーダ配信」画面にOBSの画面が配信されている事が確認できます。

「配信開始」ボタンが「配信停止」になっているのでクリックすると配信が停止されます。

このように動画を公開して友人などに公開するのは簡単ですが、収益を上げるには、チャンネルの過去12ヶ月間の公開動画の総再生時間が4,000時間、かつ、チャンネル登録者が1,000人に達していることが条件となり、かなりの頑張りが必要です。

LINEで送る
Pocket

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください